shot.003

***

一生モノ、家宝にするつもりで買ったLeica M6。中古とはいえ当時22万円ほどのprice。こんな高価なフィルムカメラを買ったのはキヤノンEOS-1VHSを予約購入して以来だったか。しかもとうにデジタルが写真界の中心になっているにもかかわらず、である。

 

レアものや古すぎるものをコレクションする趣味は自分にはないので、このM6は気に入っていた。…のだが、ちょっとした不具合があって購入して1週間もしないうちに僕の手元から去っていった。この写真のサラリーマンのように、パッと目前に現れ、フワフワと漂い、僕の脳裏に確かな印象を残しながら、ほの暗い路地の向こうにスッと消えていったのである。